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被相続人がアルツハイマー等により意思能力に疑義がある場合、有効な遺言を書ける?

被相続人がアルツハイマー等により意思能力に疑義がある場合、有効な遺言を書ける?

前提''''
 遺言書の有効性要件(☆は今回問題となる要件)
①遺言能力があること☆(民961条・962条)
②方式が法に合致していること(民960条)
③遺言事項に含まれている事項であること
④遺言が撤回されていないこと
⑤(遺留分を侵害しないこと。遺言書と異なる相続人全員による遺産分割の合意がされないこと。→相続人の把握)
⑥有効要件ではないが、被相続人の財産が把握されていること☆
(②~⑤については本稿では検討しない)

本件における有効な遺言書作成の目的
 →相続における相続人間の紛争の回避
  相続人間で揉めない、遺産分割調停・審判や遺言無効確認訴訟などを避けること

結論
第1 ①遺言能力の問題
  1 遺言能力とは
   遺言能力とは、遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識しうるに足る意思能力をいう。
   財産処分をする遺言の場合には、通常の財産行為に関する意思能力と同様の能力が不可欠である(二宮)。遺言能力については行為能力規定の適用はないのだから、(962条、また、成年被後見人につき、973条。遺言者意思の尊''''重がその趣旨である。)遺言のとき、内容、状況により遺言能力の有無の判断が分かれることになりうる。
2 確実かもしれない方法
(1) 病院に行って、長谷川式スケール(※1)で認知症検査させる。
   (まず病院に行くこと自体ハードルが高いと思う。過去または現在入院していて症状があれば、病院で検査の可能性あり。どうやってカルテ開示させるかはまた問題(※2)。)
(2) 検査のスコアで、遺言能力が大丈夫そう(16点以上)ならば、医師の診断書を付けて、公正証書遺言を書いてもらう。(自筆証書遺言でもよいが、その場合は将来の紛争防止のため下記の同意を得る活動を行う。)
(3) ただし、その場合でも、相続人となりうる者全員の同意をもって手続きしないと後で最悪遺言無効確認の訴え等になって地獄を見ると思う。公証人が遺言能力を否定することはないので、仮に訴訟になっても公証人は有益な証拠にはなりうるか。(しかし、遺言無効確認訴訟の多くは公正証書遺言について提起されている。)
  (4) 介護保険の適用を受けている場合、要介護認定の資料等を市役所・区役所から取り寄せる。医師の診断の記載ありの可能性が高い。(一人暮らしの場合で地域の見守り対象者になっている場合、医師の診断経験がある可能性あり、近所の民生委員、役所に問い合わせる)
  (5) 注意点としては、遺言能力は法的判断なので訴訟になった場合、医師の診断書通りに判断されるとは限らないこともあげておく。

3 確実とはいえない方法
(1) もし仮に、長谷川式スケールの検査結果が思わしくなかった場合、被相続人の調子のよさそうなときに再検査させる(もしくは医師を変える。)。結果が良ければ2の手続きに入る。
(2) もしそれでも検査結果がよくない場合、あまりよくないが、相続人となりうるもの全員の思惑が一致し、また被相続人が字が書ければ、自筆証書遺言で遺言状を作成することは可能だが、紛争回避が確実とはいえないので、やりたくはない。公正証書遺言について、公証人がいいといえば、作成可能かもしれないが、長谷川式スケールの検査結果を公証人に秘匿することになるので、最悪訴訟になったときにこちらが大変になる。公証人は怒ると思う。
(3) 病院に連れていくこと自体が困難な場合、相続人となりうる者すべての同意のもと、字が書ける被相続人の場合、公正証書遺言を作成させることはありうるが、公証人が認知症等に気づけば、作成できないと考えられるし、結局(2)と同じになる。やりたくない。
(4) 相続人が字が書けない場合、公正証書遺言における公証人の事由の付記はありうるが(民969条4号但書)、公証人も慎重になると思うので、アルツハイマー等が疑われれば公証人が公証してくれないと思う。(自筆証書遺言は無理。)

4 依頼者が相続人となりうるものの場合に
もし、依頼者たる相続人となりうるものが、本気で、1円も財産をほしくないと考えるならば、放置して、被相続人の死後早急に相続放棄をすれば紛争には巻き込まれない可能性はある。
ただ、自己の配偶者や子などの関係者も介入してくる可能性はあるうえ、他の相続人から勝手に相続放棄し無責任だと責められることもあるので、紛争を避け切ることができるかは微妙である。
 依頼者がどこまで、紛争を避けるために真剣になれるか、手間や費用をかけられるか、の問題であると考える。

5 認知症等の被相続人について
アルツハイマー等の症状が出た場合、人にもよるが、性格の負の部分(例えば、怒りっぽい、気前がよすぎるなど)が突出することが大いにあると考えられる。
   となると、特に被相続人が一人暮らしなど、相続人たる子等と別居している場合、病院に連れていくこと自体が難しく、2の病院での検査すら困難なことも多い。病院に連れていける頃には症状が進み、遺言書作成は手遅れになっている。
 このような場合には、相続人の死後、遺産分割協議に入る方が、効力に疑義ある遺言を無理に作成させ、のちに遺言無効確認訴訟になるよりも、紛争解決方法としては、少しはましになると考える(遺言書がない場合に裁判所で調停をする場合、法定分割を基本とするので、争えばそれだけコストがかかることを思えば、法定分割をもって解決するしかなくなる、かもしれない。)。ここは、相続人同士で話し合いがうまくいけばいいが、介護の問題等で、相続人間の意思の疎通が困難な場合には、被相続人死後の紛争は不可避となる可能性もある。

第2 ⑥被相続人の財産が把握されていること
1 財産の把握
 被相続人が認知症等をすでに発症している場合、財産の把握が困難なことがありうる。
特に預金関係。通帳自体がみつからない、紛失など。また借金も被相続人が把握・理解できないなどの場合、同様である。
 預金は、死亡後は本当に探知が難しい。弁32条照会(これでも無理な場合あり)または相続人全員の同意?
しかし存命中なので、遺言書作成を理由に、預金者たる被相続人から委任状を得て残高証明書や取引証明書を取ればいいと思われるが、可能かどうかは銀行問い合わせ要。
最悪預金は金銭債権なので遺言書で把握できていないものは、相続発生と同時に相続人に当然分割されるので(しかし実務上は遺産分割が終了しないと引き出せない。)相続人にとってマイナスの危険はない。
しかし金銭債務についても、債権同様当然に分割されるので危険である(899条)。債権者が債務者の死亡に気づけば、当然相続人全員に請求してくる(金融機関は遺言の内容や遺産分割の内容にかかわらず、自ら承諾しない限り法定相続を基準に請求してくる。)。
債務超過の場合は、被相続人の自宅等を保有したいなどの事情がない限り、相続放棄・限定承認をすべきであり、遺言書自体はいらないくらいである(財産の把握は当然必要)。
上記の事情等があり、かつ相続人が複数いる場合、自宅等を相続しない相続人にも債務は当然分割される点は要注意である(例えば長男が賃貸マンション物件を単独で相続したのにもかかわらず、次男も賃貸マンション物件のローンを相続する場合など)。ただ、銀行などの場合、不動産に抵当権が当然ついているので、不動産を処分すれば、自宅等を相続しない相続人も救済されるが、それならはじめから限定承認あるいは相続放棄したほうがいい。(相続放棄のほうが手続きは簡単)
債務については、銀行の取引証明書で、返済が把握でき、発見できる可能性あり。また不動産に抵当権が付着していれば、把握可能性あり。
 
2 財産の変動
   (1) 被相続人が遺言書作成後に財産を浪費している場合は、当たり前だが原則浪費分は相続できない。
   (2) 被相続人が遺言状作成後に贈与や相続等により財産を取得している場合、被相続人死亡後紛争の発生はありうる。
    この場合は、あらかじめ財産の変動に対応した遺言書の作成が望まれる。
 例えば、「その余の財産は長男に相続させる」とした場合、この記載は、「その余の遺産」としなかったのであるから、遺言書作成時に存在していた財産に限定する趣旨であり、作成後取得した財産は含まれないなどと主張される可能性がある。このような複数の解釈が可能な表現は避ける。
 今回の場合は「その余の財産は長男に相続させる。なお、ここでいう「その余の財産」とは、遺言者が死亡するときにおいて、遺言者の所有または権利にかかる前記の財産以外の一切の財産を指し、本遺言書作成後に遺言者が取得したものすべてを含むものとする。」などの文言を入れる。
遺言書の書き換えには手数料がかかるし、そもそも、遺言能力に疑義があるのだから、次の遺言書き換えは非常に困難であることからすれば、被相続人が相続等で財産取得の可能性があれば、かならず上記文言を入れること。

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